ある秋の日、50代の男性が当社を訪ねてこられました。高崎市内で父親から相続した実家を売却したいとのことでしたが、不動産会社数社に断られたとおっしゃいます。理由は物件前の道路が私道で、その持分関係が複雑だったためです。多くの不動産会社が敬遠する私道持分の問題ですが、実は適切な調査と対応で売却は十分に可能です。
高崎市では古くからの住宅地を中心に、私道に面した物件が数多く存在します。相続した不動産が私道に接している場合、その持分状況によって売却価格や手続きが大きく変わります。私道持分の問題を理解せずに売却を進めると、後々のトラブルや大幅な価格減額につながることも少なくありません。
今回は実際に当社が対応した高崎市内の私道持分案件を通じて、どのように調査し、どう解決して売却に至ったのか、具体的な数字とともにご紹介します。
私道持分とは何か|高崎市でよくあるパターン
私道とは個人や複数人が所有する道路のことで、公道(市道や県道)とは異なり私有財産です。高崎市内では特に昭和40年代から50年代に開発された住宅地で私道が多く見られます。これらの地域では開発時に道路を公道として市に移管せず、周辺住民で共有する形をとったケースが多いのです。
私道持分には大きく分けて3つのパターンがあります。第一に、私道全体を接道する住民全員で共有しているパターン。第二に、各自の敷地の前面部分のみをそれぞれが所有しているパターン。第三に、特定の地主が私道全体を所有し、他の住民は通行権のみを持つパターンです。高崎市では第一のパターンが最も多く、今回の事例もこれに該当しました。
私道持分があると何が問題になるのでしょうか。最も大きな影響は建築基準法上の接道義務です。建物を建てるには幅4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければなりません。私道の場合、その所有権や通行掘削の承諾が得られないと、将来建て替えができない可能性があり、買主が見つかりにくくなります。
相談者の状況|複雑な私道持分と相続
相談に来られた男性のケースを詳しく見ていきましょう。物件は高崎市片岡町近隣の住宅地にある築45年の木造2階建て住宅で、土地面積は約180平米でした。父親が15年前に他界し、その後母親が一人で暮らしていましたが、3年前に母親も亡くなり空き家状態が続いていました。
問題は物件前の私道でした。幅員4.5メートルの私道を9世帯で共有しており、相談者の父親は持分9分の1を所有していました。登記簿を確認すると、私道の所有者9名のうち2名はすでに亡くなっており、相続登記がされていない状態。さらに1名は住所変更登記がされておらず、現在の居場所が不明でした。
一般的な不動産会社がこの案件を敬遠した理由は明白です。私道所有者の一部と連絡が取れない状態では、通行掘削承諾書を全員から取得することが困難だからです。住宅ローンを利用する買主の場合、金融機関が融資の条件として私道所有者全員の承諾書を求めることが多く、それが得られなければ売買が成立しません。
調査と解決プロセス|建築士の視点が鍵
当社では相談を受けた段階で、まず3段階の調査を実施しました。第一段階は法務局での権利関係の確認です。私道の登記簿謄本を取得し、全ての共有者とその持分割合を正確に把握しました。第二段階は高崎市役所での道路台帳と開発許可資料の確認です。この私道がいつどのような経緯で作られたのか、将来的に市道認定の可能性があるかを調べました。
第三段階として、私道の現地測量と接道状況の実測を行いました。建築士の資格を持つ代表が現地で実測した結果、私道の実際の幅員は4.8メートルあり、相談者の敷地は私道に2.3メートル接していることが確認できました。これは建築基準法の接道要件を十分に満たす数値です。
次に取り組んだのが私道所有者の現状把握です。亡くなっている2名については戸籍を辿り、それぞれ3名と2名の相続人がいることが判明しました。住所不明の1名については、住民票の附票から現住所を特定できました。合計で13名の関係者全員の連絡先を2週間かけて調査しました。
私道所有者との交渉|信頼関係の構築
私道所有者全員への連絡を開始しました。ここで重要なのは、いきなり承諾書への署名を求めるのではなく、まず現状を説明し理解を得ることです。私道は共有者全員の財産であり、その管理や将来の補修についても関わってくるため、丁寧な説明が不可欠です。
訪問や電話での説明を通じて分かったのは、多くの私道共有者が自分たちの権利関係をよく理解していなかったという事実です。中には「私道の持分があることを知らなかった」という方もいました。専門家として私道の法的位置づけ、将来の補修費用の負担、相続時の注意点などを説明すると、ほとんどの方が協力的になってくださいました。
特に課題だったのが相続未登記の2件です。相続人の中に遠方に住む方や高齢の方がおり、相続登記の手続きを放置していました。当社では司法書士と連携し、私道持分の相続登記をサポートする提案をしました。費用は売主である相談者が負担する形で、約3ヶ月かけて私道共有者全員の登記を最新の状態に整えました。
売却活動と成約|適正価格での売却実現
私道関係の整理が完了した段階で、いよいよ売却活動に入りました。物件の査定にあたっては、建物の老朽化状態と私道持分の状況を総合的に評価しました。建物は築45年でしたが、構造的には大きな問題はなく、解体更地渡しまたは現況有姿での売却が可能と判断しました。
査定価格は1,680万円としました。周辺の公道に面した類似物件と比較すると約15%低い水準ですが、私道持分の問題が解決済みで全所有者の承諾書が揃っているという安心感を考慮すれば、適正な価格設定といえます。私道持分の問題が未解決の場合、30%以上の減額が必要になることもあるため、事前の調査と交渉が価格維持に大きく貢献しました。
売却活動を開始して約1ヶ月後、高崎市内で住宅を探していた40代のご夫婦から購入希望がありました。お子様の学区を考慮した立地であること、私道関係が整理済みで将来の建て替えに不安がないことが決め手となり、提示価格での成約に至りました。買主は住宅ローンを利用しましたが、私道所有者全員の承諾書が揃っていたため、金融機関の審査も問題なく通過しました。
この事例から学ぶ私道売却のポイント
今回の事例から、私道持分のある不動産を売却する際の重要なポイントが見えてきます。第一に、早期の権利関係調査が不可欠です。私道の共有者が誰なのか、相続や住所変更で登記が最新になっているか、売却を考え始めた段階で確認すべきです。放置すればするほど関係者が増え、交渉が複雑化します。
第二に、私道所有者とのコミュニケーションは誠実に行うことです。承諾書は法的には拒否する理由がないケースが多いものの、感情的な対立や不信感があると協力を得られません。専門家が間に入り、中立的な立場で説明することで、スムーズな合意形成が可能になります。
第三に、建築基準法の接道要件を満たしているかの確認です。私道の幅員や接道長さが基準を満たしていれば、買主にとって将来の建て替えが可能という安心材料になります。逆に基準を満たさない場合は、セットバックや隣地との関係など、別の解決策を検討する必要があります。現場経験者として現地調査を行うことで、正確な判断ができます。
まとめ|私道持分の相続不動産も適切な対応で売却可能
高崎市内で私道持分のある相続不動産の売却は、確かに通常の物件より手間がかかります。しかし今回の事例が示すように、適切な調査と関係者との丁寧な交渉によって、適正価格での売却は十分に実現可能です。多くの不動産会社が敬遠する案件だからこそ、専門的な知識と経験を持つパートナーを選ぶことが重要になります。
相続した不動産に私道持分がある場合、まず現状を正確に把握することから始めましょう。登記簿上の共有者は誰か、その方々は現在も健在で連絡可能か、私道の幅員や接道状況は建築基準法を満たしているか。これらを早期に確認することで、売却に向けた具体的な道筋が見えてきます。
株式会社ホームクエストでは、建築士・宅建士・FPの3資格を持つ代表が、私道持分のある相続不動産の調査から売却まで一貫してサポートします。高崎市で25年の実績がありますので、私道に関する地域特有の事情にも精通しています。私道持分のある不動産でお悩みの方は、まずは現状の診断からご相談ください。
ホームクエストでは、相続・空き家・空き地・農地のご相談を承っています。経験豊富な代表が、最初から最後までご一緒します。
📞 お電話:0120-77-9993(9:00〜19:00 水曜定休)
💬 LINE:LINE公式アカウントで相談する
📅 ご来店予約:Googleカレンダーから予約