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相続税の年内対策は贈与だけで大丈夫?現場が教える見落としがちな3つの視点

2026年10月09日

12月に入ると「年内に何か相続税対策をしておきたい」というご相談が急増します。先日も高崎市内の50代の方から「親が所有する空き家があるのですが、贈与を受けたほうがいいでしょうか」とお問い合わせをいただきました。話を伺うと、その空き家は築40年超で雨漏りもあり、固定資産税だけが毎年かかっている状態。贈与を受けても維持費負担が増えるだけで、かえって家族の負担になるケースでした。

年内の相続税対策というと「贈与」がまず頭に浮かびますが、不動産が絡む場合は贈与だけが最適解とは限りません。特に空き家や使っていない土地を抱えている場合、贈与のタイミングや方法を間違えると、節税どころか余計な税負担や管理コストを生むことになります。今回は業界経験25年の立場から、年内にできる相続税対策を贈与以外の選択肢も含めて整理します。

年内の相続税対策で「贈与」が選ばれる理由

相続税対策として贈与が注目される最大の理由は、生前に財産を移転させることで相続財産そのものを減らせる点にあります。かつては年間110万円までの暦年贈与が一般的でしたが、2023年度税制改正により相続前7年以内の贈与は相続財産に加算されるルールに変わりました。つまり、早めに贈与を始めるほど節税効果が高まる仕組みです。

また現金だけでなく不動産を贈与する選択肢もあります。不動産は相続税評価額が時価より低くなる傾向があるため、評価額ベースで贈与すれば贈与税の負担を抑えられる場合があります。ただし不動産の贈与には登録免許税や不動産取得税などの諸費用が発生し、現金贈与に比べてコストが大きくなる点は見落とせません。

年内に贈与を完了させたい場合、登記手続きや税務申告のスケジュールを逆算する必要があります。特に12月下旬は法務局や税理士事務所も混み合うため、遅くとも11月中旬までには専門家へ相談しておくことが現実的です。

空き家がある場合、贈与より先に考えるべきこと

親が所有する不動産に空き家が含まれているなら、贈与の前にまず「その不動産を残す意味があるか」を検討してください。私がこれまで対応してきた事例では、贈与を受けた後に維持費や修繕費の負担に耐えられず、結局数年後に売却するケースが少なくありません。

例えば固定資産税が年間8万円、火災保険が年3万円、草刈りや見回りで年5万円かかるとすれば、年間ランニングコストは最低でも16万円です。10年持ち続ければ160万円の持ち出しになります。贈与税を節約できても、維持費で相殺されてしまっては意味がありません。

贈与を検討する前に、売却・解体・賃貸などの選択肢を比較し、「残す価値があるか」を冷静に判断することが重要です。特に建物の劣化が進んでいる空き家は、贈与後に予想外の修繕費が発生するリスクがあります。建築士の目線で建物の状態を診断してから方針を決めるのが賢明です。

年内売却による相続財産の圧縮という選択肢

贈与以外の年内対策として見落とされがちなのが、不要な不動産を年内に売却して現金化する方法です。売却によって得た現金は、生活費として使ったり、生前贈与の原資にしたりすることで相続財産を減らせます。また不動産よりも現金のほうが遺産分割時のトラブルが起きにくいという利点もあります。

特に相続税評価額が高い割に流動性の低い不動産(市街化調整区域の土地、再建築不可の空き家など)は、生前に処分しておくほうが相続人の負担軽減につながります。売却には通常3か月程度かかりますが、買取業者を活用すれば1か月以内の現金化も可能です。年内決済を目指すなら、遅くとも11月初旬には動き始める必要があります。

また売却益が出た場合でも、居住用財産の3000万円特別控除や相続空き家の3000万円特別控除などの特例を使えば、譲渡所得税を大幅に軽減できる可能性があります。適用要件は複雑ですが、宅建士や税理士と連携すればスムーズに手続きできます。

小規模宅地等の特例と評価減を活用する方法

相続税対策では、財産を減らすだけでなく評価額を下げるアプローチも有効です。代表的なのが小規模宅地等の特例で、自宅敷地なら最大330平米まで評価額を80%減額できます。賃貸アパートの敷地でも最大200平米まで50%減額の対象になります。

この特例を最大限活用するには、相続開始時点で要件を満たしている必要があります。たとえば「同居親族が相続する」「事業用・賃貸用として継続利用している」などの条件です。年内にできる対策としては、将来の同居を見据えた住民票異動や、空き家を賃貸物件に転用する準備などが考えられます。

また老朽化した建物を解体してしまうと、住宅用地の特例が外れて固定資産税が最大6倍に跳ね上がるリスクがあります。解体するタイミングや売却時期は、税制上の影響をシミュレーションしてから決めるべきです。専門家と一緒に試算すれば、数十万円単位で結果が変わることも珍しくありません。

贈与と売却を組み合わせた実践事例

ある60代のご夫婦は、市内に自宅のほか空き家2棟と農地を所有していました。推定相続税額は約800万円。そこで私たちは次のような年内対策プランを提案しました。まず築50年でほぼ使用不能だった空き家1棟を年内に売却し、売却代金500万円を得ました。次にその現金を元手に、長男と次男にそれぞれ年110万円ずつ計220万円を贈与。残りの現金は生活費として使い、相続財産を圧縮しました。

さらにもう1棟の空き家は立地がよかったため、簡易リフォーム後に賃貸物件として貸し出し、小規模宅地等の特例(貸付事業用)の適用準備を整えました。この結果、推定相続税額を約400万円まで引き下げることができ、かつ維持費のかかる不良資産も整理できました。

このように贈与・売却・賃貸活用を組み合わせることで、単発の対策よりも大きな節税効果と家族負担の軽減を実現できます。ポイントは不動産の現況を正確に把握し、税制・建物状態・市場性を総合的に判断することです。

まとめ|年内対策は「贈与ありき」ではなく総合判断を

相続税の年内対策として贈与は有力な選択肢ですが、不動産が絡む場合は贈与だけに飛びつかず、売却・賃貸・評価減施策を含めた総合的な判断が欠かせません。特に空き家や遊休地を抱えている方は、将来の維持費負担や市場価値の変動も視野に入れて方針を決める必要があります。

年内に間に合わせるには、遅くとも11月中旬までに専門家へ相談し、スケジュールを組むことが重要です。登記や税務申告には一定の時間がかかるため、駆け込みでは選択肢が狭まります。また建物の状態確認や市場査定には現地調査が必須なので、早めの行動が成功のカギです。

ホームクエストでは、相続・空き家・空き地・農地のご相談を承っています。経験豊富な代表が、最初から最後までご一緒します。

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