「父が遺してくれた高崎市内の古い家、接道が2メートルに満たないから再建築不可だと言われて…売れるんでしょうか」。10月初旬、そんなご相談を50代の女性から受けました。現地を訪れると、築45年の木造2階建て。確かに前面道路は幅員1.8メートルほどで、建築基準法上の接道義務を満たしていません。しかし、建物自体の骨組みはしっかりしており、リフォームすれば十分に住める状態でした。結論から申し上げると、この物件は11月下旬に成約。相談から約50日で売却が完了しました。
再建築不可物件は一般的に「売りにくい」と敬遠されがちですが、実は高崎市内では一定の需要があります。特に秋から冬にかけては、年内の取引完了を希望する買主が動き出す時期。適切な価格設定と、建物の状態を正確に伝える診断があれば、想像以上にスムーズに売却できるケースは少なくありません。今回は、実際に私が担当した高崎市内の再建築不可物件の売却事例をもとに、成功のポイントを具体的にお伝えします。
再建築不可物件とは何か|高崎市での該当エリアの傾向
再建築不可物件とは、現在の建築基準法では建て替えができない不動産のことです。主な理由は接道義務の不足。建築基準法では、敷地が幅員4メートル以上の道路に2メートル以上接していなければ、原則として建物を建てることができません。高崎市内では、旧市街地や昭和40年代以前に開発された住宅地に、こうした物件が点在しています。
特に片岡町、連雀町、田町、あら町など、高崎駅周辺の古くからの市街地では、路地状敷地や私道に面した物件が多く見られます。また、倉渕町や榛名町などの旧町村部でも、農道沿いの宅地が該当するケースがあります。代表の伊藤は建築士として25年、こうした物件を数多く診てきましたが、再建築不可だからといって必ずしも価値がないわけではありません。現行法での建て替えはできなくても、大規模なリフォームや用途変更は可能な場合が多いのです。
秋が売却タイミングとして有利な3つの理由
不動産市場には季節性があり、秋は売却に適した時期です。第一に、9月から11月は購入希望者の動きが活発になります。年内に取引を完了させたい、年明けからの新生活に向けて準備したいという買主が増えるためです。実際、私が扱った再建築不可物件の成約率を月別に見ると、10月と11月は他の月と比べて約1.3倍高い傾向があります。
第二に、気候が穏やかで内覧に適している点です。真夏の猛暑や真冬の寒さでは、古い建物の欠点が目立ちやすくなります。しかし秋であれば、買主も落ち着いて建物を見学でき、リフォーム後の暮らしをイメージしやすくなります。第三に、年末の税制を意識した動きがあります。買主側は住宅ローン控除のタイミングを、売主側は譲渡所得税の計算を考えて動くため、11月から12月にかけて取引がまとまりやすいのです。
建築士による建物診断が売却成功の鍵を握る
再建築不可物件の売却で最も重要なのが、建物の現状を正確に把握し、買主に伝えることです。ここで専門家としての診断が不可欠になります。冒頭の事例では、まず私が建築士として建物診断を実施しました。基礎の状態、土台の腐朽状況、柱の傾き、屋根の劣化具合など、構造的な安全性を細かくチェックします。
この物件では、基礎は布基礎で一部にひび割れがあったものの、構造的には問題なし。土台の一部に蟻害の痕跡がありましたが、既に駆除済みで活動は停止していました。屋根は瓦葺きで、部分的な差し替えが必要な程度。こうした診断結果を写真付きの報告書にまとめ、買主候補に提示します。これにより、買主は購入後のリフォーム費用を具体的に見積もることができ、購入判断がしやすくなるのです。再建築不可物件を敬遠する買主の多くは、建物の状態が不透明であることに不安を感じています。専門家による診断書があれば、その不安は大きく軽減されます。
適正価格の設定方法|周辺相場の7割が目安ではない
「再建築不可物件は相場の5割から7割で売るしかない」という話をよく耳にしますが、これは一概には言えません。重要なのは、その物件の実質的な使用価値です。今回の高崎市片岡町の事例では、周辺の建築可能な中古住宅の相場が坪単価約18万円だったのに対し、坪単価13万円で設定しました。これは相場の約72%ですが、単純に割引したわけではありません。
価格設定の根拠は、建物診断で判明したリフォーム必要額と、買主が得られる居住価値の両面から算出しました。この物件は敷地80坪、建物延床面積35坪。リフォーム費用は概算で450万円と見積もられましたが、完成後は駅徒歩12分の好立地で快適に住める住宅になります。新築を建てる場合と比較すれば、土地代と建築費で4000万円以上かかるところ、総額1500万円程度で取得できる計算です。この価値を買主に理解してもらうために、宅建士として市場分析データを提示し、ファイナンシャルプランナーとして資金計画の相談にも応じました。
買主はどう見つけるか|再建築不可物件の需要層
再建築不可物件には、実は明確な需要層が存在します。第一にDIYやリノベーション愛好家。自分の手で古民家を再生したい、独自の空間を作りたいという方々です。高崎市内でもカフェや工房、アトリエとして活用する事例が増えています。第二に、不動産投資家。リフォーム後に賃貸住宅として運用すれば、利回りが高くなるケースがあります。
第三に、近隣住民。隣接地の所有者が駐車場や庭の拡張用地として購入するケースです。今回の事例では、市内在住の30代夫婦が買主となりました。ご主人が建築関係の仕事をしており、自らリフォームする技術と時間がある方でした。こうした買主を見つけるために、一般的な不動産ポータルサイトだけでなく、リノベーション専門サイトや地域のSNSコミュニティにも情報を発信しました。問い合わせは約3週間で8件。そのうち実際に内覧に来られたのが5組で、最終的に2組から購入申込をいただきました。
契約から引渡しまでの具体的な流れと注意点
再建築不可物件の売買では、通常の不動産取引以上に重要事項説明が丁寧である必要があります。買主に対して、建築基準法上の制限、リフォームの範囲、将来的なリスクなどを漏れなく説明します。今回の事例では、10月25日に売買契約を締結。手付金として売買代金の10%を受領し、引渡し日を11月27日と設定しました。
契約後、売主側では建物内の残置物撤去と簡易清掃を実施。買主側では、提携している金融機関でリフォーム資金を含めた不動産担保ローンの審査を進めました。再建築不可物件は住宅ローンが組みにくいとされますが、地元金融機関の中には柔軟に対応してくれるところもあります。私の方から金融機関に建物診断書と修繕計画書を提出し、買主の資金計画をサポートしました。11月20日にローン承認が下り、予定通り11月27日に残金決済と引渡しを完了。売主様からは「こんなに早く、しかも希望額に近い価格で売れるとは思わなかった」と感謝の言葉をいただきました。
まとめ|再建築不可でも諦めない、秋の売却戦略
高崎市内の再建築不可物件は、決して売れない不動産ではありません。建物の状態を正確に診断し、適正な価格を設定し、適切な買主層にアプローチすれば、秋の好タイミングで成約に結びつけることは十分可能です。今回ご紹介した事例のポイントをまとめると、専門家による建物診断で買主の不安を解消したこと、リフォーム後の価値を含めた価格設定をしたこと、そして需要層に合わせた販売活動を展開したことです。
相続で引き継いだ再建築不可物件を前に、どうすればいいか分からず悩んでいる方は少なくありません。しかし適切な知識と経験があれば、想像以上にスムーズに売却できます。特に秋は市場が活発になる時期ですので、今が動き出すチャンスです。建物の状態、法的制限、市場動向を総合的に判断できる専門家に相談することで、最善の解決策が見えてきます。ホームクエストでは、こうした難しい不動産のご相談を数多く手がけてきました。一つひとつの物件に真摯に向き合い、最適な売却プランをご提案しています。
ホームクエストでは、相続・空き家・空き地・農地のご相談を承っています。経験豊富な代表が、最初から最後までご一緒します。
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