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遺産分割調停で不動産を分ける流れと注意点|高崎市の相続専門家が解説

2026年08月09日

先日、高崎市内で実家を相続された50代の兄弟からご相談がありました。兄は売却して現金で分けたい、弟は思い出のある実家を残したいと考えが対立し、話し合いが平行線のまま半年が経過していました。このような遺産分割協議がまとまらないケースでは、家庭裁判所での遺産分割調停という手続きを検討することになります。

不動産が絡む遺産分割調停は、預貯金だけの相続とは異なる複雑さがあります。建物の老朽化や土地の評価方法、分割方法の選択など、専門的な判断が必要な場面が多く出てきます。私は25年間、相続不動産の現場に携わってきましたが、調停に至るケースの多くは事前の情報不足が原因でした。

本記事では、遺産分割調停で不動産を分ける際の具体的な流れと、現場で実際に起きる問題への対処法を、実例を交えて解説します。

遺産分割調停とは何か

遺産分割調停は、相続人同士の話し合い(遺産分割協議)がまとまらない場合に、家庭裁判所の調停委員が間に入って合意を目指す手続きです。全国の家庭裁判所で年間約1万3千件の遺産分割調停が申し立てられており、その多くに不動産が含まれています。

調停は裁判とは異なり、あくまで話し合いによる解決を目指します。調停委員が各相続人から個別に事情を聞き、双方が納得できる落としどころを探っていく形式です。ただし不動産が含まれる場合は、評価額の算定方法分割方法の選択で意見が分かれやすく、調停が長期化する傾向があります。

私が関わった案件では、築40年の空き家と農地を含む相続で、兄弟3人の意見が対立し調停に持ち込まれたケースがありました。当初は感情的な対立もありましたが、調停委員が客観的な不動産評価を示したことで、最終的には現物分割と代償金の組み合わせで合意に至りました。

遺産分割調停を申し立てる条件と準備

遺産分割調停は、相続人のうち1人でも申し立てが可能です。申立先は、相手方のうち1人の住所地を管轄する家庭裁判所、または相続人全員が合意した家庭裁判所になります。群馬県の場合、前橋家庭裁判所本庁または高崎支部が管轄となることが多いです。

申立には、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、遺産目録、そして不動産がある場合は登記事項証明書と固定資産評価証明書が必要です。不動産の評価額について争いが予想される場合は、事前に不動産鑑定士による評価書を取得しておくことも有効です。

申立手数料は1件につき1,200円の収入印紙と、連絡用の郵便切手が必要になります。弁護士に依頼する場合は別途着手金と成功報酬がかかりますが、不動産評価や分割方法について専門家の意見が必要なケースでは、建築士・宅建士・FPの資格を持つ専門家に事前相談することで、調停をスムーズに進められることがあります。

不動産が含まれる遺産分割調停の流れ

調停の申立後、通常1ヶ月から1ヶ月半後に第1回の調停期日が指定されます。調停は平日の日中に行われ、1回あたり約2時間程度です。不動産が含まれる場合、争点の整理と評価に時間がかかるため、平均で4回から6回の期日を要し、申立から成立まで6ヶ月から1年かかることが一般的です。

第1回期日では、各相続人の主張と遺産の範囲確認が行われます。不動産については、まず評価方法を決める必要があります。固定資産評価額を基準にするか、相続税評価額(路線価)を用いるか、または不動産鑑定士による鑑定を行うかを決定します。

第2回以降は、評価額が確定した上で分割方法を協議します。不動産の分割方法には、現物分割(土地を分筆する)、代償分割(一人が取得して他の相続人に金銭を支払う)、換価分割(売却して代金を分ける)、共有分割(共有名義にする)の4つがあります。それぞれにメリットとデメリットがあり、不動産の状態や相続人の事情によって最適な方法は異なります。

高崎市内の事例では、駅から離れた空き家と農地を含む相続で、長男が実家を引き継ぐ代わりに次男に代償金500万円を支払う内容で調停が成立しました。この際、建物の老朽化を考慮した適正な評価額の算定が争点となり、専門家の意見書が解決の鍵となりました。

不動産評価で揉めやすいポイント

遺産分割調停で最も時間がかかるのが、不動産の評価額をどう算定するかです。固定資産評価額は時価の約70%、相続税評価額は時価の約80%と言われており、実勢価格とは差があります。この差が相続人間の不公平感につながり、調停が長引く原因になります。

特に空き家や老朽化した建物がある場合、建物の価値をどう見るかで意見が分かれます。相続税評価では一定の価値があっても、実際には解体費用がかかるため、マイナス評価すべきという主張が出ることもあります。私が関わったケースでは、築50年の空き家について、解体費用150万円を考慮した評価が認められました。

また農地や市街化調整区域の土地は、売却が制限されるため評価が難しくなります。調停委員会が不動産鑑定士による鑑定を勧めるケースもありますが、鑑定費用は30万円から50万円程度かかるため、相続人全員の同意が必要です。

調停不成立の場合はどうなるか

調停で合意に至らない場合、調停は不成立となり、自動的に遺産分割審判の手続きに移行します。審判では、裁判官が法定相続分に基づいて遺産の分け方を決定します。不動産については、原則として競売による換価分割が命じられることが多く、市場価格の7割から8割程度でしか売れないことがあります。

審判まで進むと、相続人の希望よりも法的な公平性が優先されます。実家を残したいという感情的な理由は考慮されにくく、結果として誰も望まない形での分割になるリスクがあります。そのため、調停段階で専門家のアドバイスを受けながら、現実的な妥協点を見つけることが重要です。

群馬県内の事例では、相続人4人で調停がまとまらず審判に移行した結果、築35年の実家が競売にかけられ、査定額の65%で落札されたケースがありました。代表として関わる中で、もう少し早い段階で建物診断を実施し、客観的な価値を示せていれば、調停で合意できた可能性が高いと感じています。

調停成立後の不動産手続き

調停が成立すると、調停調書が作成されます。この調停調書は確定判決と同じ効力を持ち、単独で登記申請が可能です。通常の遺産分割協議書では相続人全員の実印と印鑑証明書が必要ですが、調停調書があれば不動産を取得する相続人が単独で所有権移転登記を行えます。

代償分割の場合は、調停調書に代償金の支払期限と金額が明記されます。支払いが完了してから登記を行うか、登記と同時に支払うかは調停の内容次第です。金額が大きい場合は、分割払いの条項を入れることもできます。

換価分割で調停が成立した場合は、調停調書に基づいて不動産を売却します。売却代金から諸費用を差し引いた金額を、指定された割合で分配します。空き家や老朽化した建物の場合、売却前に建物診断を行い、解体の要否や修繕の必要性を判断することで、スムーズな売却につながります。

まとめ|遺産分割調停で不動産を円満に分けるために

遺産分割調停は、相続人同士の話し合いがまとまらない場合の有効な解決手段ですが、不動産が含まれる場合は評価や分割方法で争点が複雑化します。調停の申立から成立まで平均6ヶ月から1年かかり、その間に不動産の維持管理費用も発生し続けます。

調停をスムーズに進めるためには、事前に不動産の適正な評価を把握し、分割方法の選択肢を理解しておくことが大切です。特に空き家や老朽化した建物、農地などが含まれる場合は、建物診断や土地の法的制限について専門家の意見を聞いておくと、調停での主張に説得力が増します。

調停が不成立になると審判に移行し、競売などの望まない結果になる可能性もあります。感情的な対立を避け、客観的なデータに基づいた冷静な判断を心がけることが、円満な遺産分割につながります。相続不動産でお悩みの際は、早めに現場経験のある専門家に相談することで、選択肢を広げることができます。

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